できれば外になんか一歩も出たくない。
家の中にずーっと引きこもっていてもぜんぜん平気です。(そういえば正月休みは、風邪をひいていたとはいえ、1週間以上も家から一歩たりとて出なかった)
その傾向は馬齢を重ねるにつれ、ますます顕著になりました。
それでも以前は、ボクシングの試合を生観戦するために、東京や大阪まで遠征したものです。
行かなくなってから、もう10年になりますが。
最後に遠征したのは2016年の5月8日です。
有明コロシアムで開催された井上尚弥の世界戦を現地観戦しました。
デビッド・カルモナとの世界Sフライ級王座2度目の防衛戦ですね。
メインに井上尚弥、セミに八重樫東のダブル世界タイトルマッチで、このときのリングサイド席(値段の一番お高い席)はなんと3万円。
いまから考えると、超お得な料金設定でしたね。
ちなみにこの時の井上尚弥は、序盤から両拳を痛めて、思うように強打を打ち込めず、スッキリしない判定勝ち。
判定は文句なしの勝利でしたけど。
試合の最終12ラウンド、ポイントで断然リードしているにもかかわらず、井上は歯を食いしばってカルモナを倒しに行きました。
力尽くでダウンを奪い、あと少しでストップ勝ちというところで、残念ながら時間切れの終了ゴング。
拳が痛くてしょうがなかっただろうに、観客への義理立てのつもりか、自身の凄まじいプライドのためか。
最終回をテキトーに流して戦って、無難に判定勝利に持ち込む、なんてことは最初から考えもしない。
このへんのメンタリティーは、特に外国の連中には理解不能でしょう。
ポイントで圧倒しているのに、なんでわざわざリスク背負って、最終回打ち合いに行くんだ? 馬鹿じゃないの?
とか、思うんだろうな。(30年以上前の鬼塚勝也vsアルマンド・カストロ戦でも、外国人のボクシング関係者が似たようなことを偉そうに言ってたっけ)
はん。
おまえらに日本人の美学がわかってたまるかよ。
・・・そんな井上尚弥様ですが、直近2試合は、いずれもダウンシーンすら皆無の判定決着。
無理やり倒しに行くどころか、最初から判定勝利を意識した試合運びに終始、平和の尊さをしみじみ感じさせる内容となりました。
いや、けっして皮肉でも、批判でもありません。
あの戦い方で全然いい、と思います。
このまま現役を続けるのなら、直近2試合のファイトスタイルを貫き通してほしいです。
尚弥様の真意は不明ですが、もはやファンサービスする気も失せているんじゃないでしょうか。
わざわざリスク背負って、ダウンシーン、ノックアウトシーンを、愚民どもに披露してやる必要などない、と。
ボクシングの本場(笑)の判定職人たちを、「レベル高ぇ~~~」とか言って、神聖視する日本の連中に、いいかげん頭にきているかもね。
KOスペクタクルよりも、退屈な技術戦、判定勝負のほうがお気に召すなら、そうしてやるよって。
そしてもう一つ。
このところ深刻なリング事故が多発し、JBC(日本ボクシングコミッション)をはじめとする関係各所は、事故の再発防止に追われています。
救急救命士の全試合配置、MRI検査の義務化、過度な水抜き減量の禁止、緊急時の救急搬送体制の改善などなど・・・
日本ボクシング界の象徴である井上尚弥様も、当然ながら事の重大さに危機感をおぼえたことでしょう。
ひょっとして、直近2試合の尚弥様は、リング事故防止も意識したファイトスタイルを試行していたのでは?
なるべく相手に深刻なダメージを与えないように、そして自らもダメージを被ることのないような戦い方。
相手を痛めつけるのではなく、ポイントアウトすることを目的としたボクシングへのシフトチェンジ。
井上は、これから日本ボクシングが目指す有り様を、示したかったのではないでしょうか。
そういう意味では、井上兄よりもむしろ井上弟のスタイルが理想的なのかも。(最終形態は坪井智也あたりのスタイルかな)
ところでボクシングファン、ボクオタたちも、リング禍にどう向き合っていくかという重い問いを、同様に突きつけられたはずですが、けっきょく彼らは思考停止することを選んだようですね。
リング事故のことなどすっかり忘れて、何事もなかったかのようにボクシングを見続け、相変わらず偉そげにボクサーたちを批判する。
「自分はただ観ているだけ」って無責任な立場はサイコーやね。
最悪の事態が起きたときだけ「悲劇」として処理し、喉元を過ぎれば、亡くなった選手の追悼テンカウントが終われば、すぐに忘れてまた次の興行を求める。
切替え早いよね。
まあ、いつまでも脳天気にボクシング観ていてください。
ボクサーのみなさん、こんな連中のために命を賭ける必要など、まったくありませんよ。
どうか自分の身体を大切に・・・




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