パウンド・フォー・パウンド


最近、海外(というか米国)のボクシング界では「パウンド・フォー・パウンド(PFP)」論争が喧しい。

階級を超越した現役最強ボクサーは誰なのか? テレンス・クロフォードか、井上尚弥か?

分かりきったことですが、PFPなんて想像上のお遊び。真剣に考えたらダメでしょう。

ちなみに自分個人の考えを言うと、井上尚弥は「現役PFP世界最強」どころか、「歴代PFP世界最強😆」だとすら思っています。

いいんです、遊びなんだから。みんなそれぞれ心に思うPFP最強があっていいんだよ。

なのに本気で語る馬鹿がいるから荒れるんだ。(とくに日本のボクオタ)

しかし、ちょっと前まで、パウンドフォーパウンド現役1位には、ソウル(カネロ)・アルバレスがずっと居座っていたけど、カネロの1位こそ疑問符だらけだったと思う。

それでもカネロのときは大して論議にならなかったのに、どうして井上尚弥だとみんなムキになるんだろう?(ロイ・ジョーンズ先生までムキになっているのが笑える)

やっぱりアジア人の軽量級ボクサーがナンバーワンだとは認めたくないのかな、あちらの人たちは。

それでも彼らが無視できなくなってきているのは、井上尚弥が単純明快に倒しまくるボクサーだからだろう。

誰もが分かりやすい圧倒的な強さ。相手が誰であろうとKO勝利を目指し、実際に倒して勝つ。

フロイド・メイウェザーに代表される退屈極まりないボクシング(リスクを徹底排除して堅実な勝利を得るボクシング)が主流となっている今、それとは真逆のコンセプトを体現している井上尚弥という存在は、脅威そのものなんだろうな。


ところでその井上尚弥を抑えて、現在のパウンド・フォー・パウンド最強といわれるテレンス・クロフォード。

彼はけっしてリスク回避の退屈ボクサーではなく、いわゆる倒せるテクニシャンというやつで、日本のボクオタが大好きなタイプのボクサーだ。

昔のワタシだったらおそらく夢中で追っかけたであろうと思われる。

そのクロフォードが、パウンドフォーパウンド1位を確定させた、去年7月29日の世界ウェルター級4団体王座統一戦。

クロフォードとエロール・スペンスの無敗決戦が決まったとき、その比較の対象は当然、過去に行われたウェルター級統一戦の名試合だったはずだ。

シュガー・レイ・レナードvsトーマス・ハーンズやドン・カリーvsミルトン・マクローリー、フェリックス・トリニダードvsオスカー・デラ・ホーヤとかね。

ところが、パウンドフォーパウンド論議があまりに白熱していたためか、比較の対象は過去のウェルター級統一戦ではなく、直前に行われた井上尚弥vsスティーブン・フルトンになってしまった。

けっきょく統一戦の結果は、クロフォードが一方的にスペンスを打ち負かし、9回TKO勝ち。

ビッグネームのスペンスに圧勝したことで、フルトンに圧勝した井上よりクロフォードのほうがパウンドフォーパウンド的に上だと評価されたわけだが、これってちょっとおかしくないか?

なんで比較の対象が井上vsフルトンなんだよ。

いや、パウンドフォーパウンド評価がおかしいと言っているのではなく、クロフォードvsスペンスの対決って、本来は過去のウェルター級統一戦の名勝負に迫ることができるかどうかが主題だったはずだろう。

ふつうに過去のウェルター級統一戦が比較対象だったら、興奮度も娯楽性もレナードvsハーンズ戦に及ばず、せいぜいカリーvsマクローリー戦と同等、なーんて言われていたんじゃないか。

もし井上尚弥の存在がなかったら、たぶんクロフォードは現在のような高い評価を得られないまま、いまだ不人気王者に甘んじていたように思う。


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