川原泉4(甲子園の空に笑え!)


昔、『ぱふ』っていう、まんが情報誌がありましてね。

その『ぱふ』に、川原泉さんのインタビュー記事がね、載ったことがあったんです。

そのインタビューの中で、

「自身の作品を通じて読書に何を伝えたいですか?」

と問われたカーラ教授は、つぎのように答えていらっしゃいました。

「・・・んばばの感情」

わははは。

この「・・・んばばの感情」というのは、いったいなんだったのか。

いまだに謎です。😆


さて、今回読んだのは、『甲子園の空に笑え!』です。

「花とゆめ」1984年16・17・18号に掲載された、高校野球が題材の作品です。

ちょうど今、第108回全国高等学校野球選手権大会が、甲子園球場で行われていますね。

ひじょうにタイムリーな読書ですが、べつに狙ったわけではありません。

ちなみに作品中での甲子園大会は、第66回大会でした。

懐かしいですね~~~。

実際の第66回大会では、茨城の取手二高が優勝していましたね。

なんとなく覚えています。

いや、実際の夏の甲子園大会はどーでもいいですけどね。


『甲子園の空に笑え!』のストーリーは、

九州のど田舎にある「豆の木高校」に新任女教師として赴任してきた広岡真理子が、成り行きから部員9名の弱小野球部監督を引き受けます。脳天気でお気楽な豆の木高校野球部は、あれよあれよと奇跡の快進撃を見せ、夏の甲子園大会で準優勝を果たす。

・・・と、こんなお話です。

高校野球が題材ですが、熱血や根性、汗臭さといった要素が綺麗さっぱり抜け落ちていて、全編カーラ教授の独特な世界観に貫かれています。

のほほんとした豆の木高校野球部員の面々も大好きですが、作品のヒロインである広岡真理子監督とライバル北斗高校の高柳邦彦監督の関係、やり取りが特に気に入っています。

初対面での第一印象は最悪の2人でしたね。

広岡監督「あの~、北斗高校の監督さんですね。わたし豆の木高校の監督の広岡と申しますが」
高柳監督「は? 今、何とおっしゃいました?」
広岡監督「んだからね、豆の木高校監督の広岡ですが~」
高柳監督「・・・どこかのチームに、女性の監督がいるとは聞いていましたがね。そーですか、ではあなたが」
広岡監督「はい。なにぶん初出場ですので、よろしくお願いいたします」
高柳監督「あ、こちらこそ。北斗の高柳です、よろしく。・・・しかしそれにしても広岡さん」
広岡監督「はい?」
高柳監督「おたくの県では相当、野球指導者の数が不足しているようですな」
広岡監督「・・・・・・」

広岡監督高柳監督の態度にムチャクチャ腹立ててましたよね。

広岡監督(そいつはどーゆー意味だ。礼を尽くして頭を下げた人に対して、その言いぐさは何だよ。わたしが監督しちゃおかしいっちゅーのか? 世間にゃよくいるんだよな~。男の領域に女が進出してくると必ずイヤミ言う奴が! なんて了見の狭い男だろう。高校野球の監督がなんぼのもんだっつーんだよ)

わははは。

組み合わせ抽選に関する会話も面白かった。

高柳監督「ところで明日はいよいよ、1回戦の組合わせ抽選会だけど、どことあたるか楽しみですね」
広岡監督「(楽しみ? アホか。福引きとまちがえてんじゃないかい?)でも、おたくとぶつかったら困りますわ~~~」
高柳監督「その可能性はおおいにありますね」
広岡監督「おたくのような強豪が相手じゃ、どーせうちが負けるに決まってますけどね~」
高柳監督「そら決まってます」
広岡監督「ちょっと! あたしゃ謙遜して言ったのよっ」
高柳監督「あ、そーだったんですか」
広岡監督「あったりめーだーな。おこるよあたしゃ」

選手宣誓のやり取りも笑えました。

広岡監督「そう! 忘れもしない。今から10年前のあの時の宣誓は特にひどかったな~。そのあまりのバカ声に、たまげたわたしはころんで皿を割り、眠っていた弟はバビンスキー反応を起こし、2段ベッドから転落した。顔とか名前は憶えてないけど、あの傍迷惑な品の悪い声だけは記憶鮮明よ」
高柳監督「あー、そりゃどーもすいませんね。どーせ僕はバカ声で品も悪いし。ま、どーだっていいですけどね」
広岡監督「?」
教頭先生「・・・高柳監督は、高校時代北斗の主将で、たしか10年ほど前あの人もなさったと思いますよ、選手宣誓を」

キリがないのでお二人のやり取りはこのへんにしておきます。

ところで、劇中の甲子園大会では、「このクソ暑いのに」とか「問題はだな、ギンギラの炎天下で試合せにゃならんとゆーことだ」とか、「蒸し暑い」「夏とはいえあまりにムゴイ暑さ」「しかしこの暑さは・・・いっ異常ですね」などと、過酷な暑さの描写がありますね。

準決勝に勝った後、広岡監督が宿舎で夏バテのために倒れちゃいましたが、今で言うと、熱中症による体調不良だったかもしれませんね。

もっとも彼女、高柳監督に買ってもらった高そうなメロンを食べたら、翌日はすっかり元気になっていましたが。😓

ちょっと調べてみたところ、当時の夏の甲子園大会準決勝が行われた1984年8月20日の大阪・甲子園近郊の最高気温は、31.5℃でした。

翌日の決勝戦も約30℃〜31℃程度。

前日に近畿地方に最接近した台風10号の余波により、たいへん蒸し暑いコンディションでの試合だったそうですが、やっぱり40年前は、現在ほど異常な暑さではなかったみたいですね。(そりゃそうだ)


さて、『甲子園の空に笑え!』には続編があるんですよね。

この作品から7年後を描いた『メイプル戦記』という続編が。

日本初の女性だけのプロ野球チーム「スイート・メイプルス」を舞台に、広岡さんと高柳さんは同じチームの「監督とコーチ」としてタッグを組むことになります。

『メイプル戦記』も面白かったですよね。

とくに、瑠璃子ちゃんのあまりの変わりように混乱する高柳さんが笑えます。(なんのことか知りたい人は『メイプル戦記』を読みましょう

ワタシも近いうちに『メイプル戦記』も読まなきゃいけませんね。


わしらは 
   栄冠とか優勝とか 
      そんなもんに輝かなくてもいいんだな


・・・あー
きょうも 
 運が良いといいね 
   楽しいといいね 
     幸せだといいね




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